【嶋田】泉川診療所は、近年在宅医療に力を入れていますね。

【伊東】在宅療養支援診療所として、現在約六十人の患者様の二十四時間の在宅管理を引き受けています。夜間も三人の看護師が毎晩交替で携帯電話を持ち帰り、コールがあれば夜中でも明け方でもまず行ってみるようにしています。医師と一緒に行ったり、まず看護師だけで行く場合もあります。

【嶋田】在宅医療に関わって特に大変だと感じる部分はどのような点ですか。

【伊東】やはり携帯をもって帰る夜は、緊張しているのかよく眠れなかったりもしますね(笑)。先日も、夜コールがあって駆けつけると呼吸状態が悪く、このままでは危険だと判断して救急車を呼び、搬送先や家族との相談など差配しながら、最終的に患者様は他院に入院となりました。終わると夜中の〇時を回っていましたね。

【嶋田】それは大変ですね。

【伊東】でもコールがあればどんな時間でも駆けつける、在宅療養支援診療所を引き受けているからには、その責任をもってあたらないといけないと思っています。

【嶋田】うれしいと感じるのはどんな時ですか。

【伊東】定期往診に行って「かわりないよ」と言われる時ですね。「いかがですか」と聞いたら「かわりないよ、ありがとう」と。「かわりない」っていうのが一番です。

【嶋田】これまでどおり順調に在宅療養が続けられていると。

【伊東】先日、在宅でとてもお元気だった方が、ショートステイでうつった風邪が元で入院され、そのまま亡くなるというケースがありました。あのまま家で療養を続けられていたら…と思うこともあります。

【嶋田】残念ですね。

【伊東】また、心不全などで一時は命の危険があるほど悪かった百四歳の患者様が、「絶対家に帰るんじゃ」と言われて、スタッフがその希望に沿う形で関わり、今ではデイサービスに通えるほどよくなりました。私たちは「一歩下がって後ろから支える」というスタンスが大事なんですよね。前に出てしまうとその人が「何かやろう」という気持ちを摘みとってしまうことにもなりかねませんから。

【嶋田】なるほど。

【伊東】独居の在宅患者さんを訪問すると、ベッドの周りにいろんなものが置いてある。自分で「これはここにしまおう」「やれることはやろう」と気をつけておられるんですよね。

【嶋田】自立したいという意欲を大切にするということですね。

【伊東】あくまで主人公は患者様で、私たちは外からの訪問者なんです。訪問したお家が多少ちらかっていたとしてもそのまんまでいいんです。健康に影響がなければ、それがその人の暮らしやすい形、その暮らしを続けられるように、私たちが支えることがきたらと思っています。在宅は非常にやりがいのある仕事です。若い看護師さんにはぜひ一度経験してみてほしい仕事ですね。

【嶋田】貴重なお話ありがとうございました。    (タイトル web編集部)

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