【小笠原】新年明けまして、おめでとうございます。

【谷井・有田】明けまして、おめでとうございます。

【小笠原】昨年は協立病院の無料低額診療事業が開始されました。状況はどうでしょうか?

【谷井】昨年9月に開始して現在まで5件の申請がありました。ケースワーカーだけではなく、医事課全体で取組んできています。

【小笠原】生協病院での開始はいつからでしょうか?

【有田】今年の1月から開始しました。開始にあたり広く知ってもらうために1月8日に、無料低額診療制度の学習会を尼崎医療生協の方を講師に招き行いました。職員も含め、多くの組合員さんや他団体の方も参加をされていて、改めて制度への期待を感じました。行政も含めて多くの団体と協力してくことも今後の課題だと感じました。

【小笠原】制度の活用には多くの方の協力が必要だと思います。無料低額診療制度の必要性をどう考えておられますか?

【谷井】協立病院で開始する前は、一部自己負担金をとらないと赤字になるのではという不安も出されました。現状では、赤字にはなっていません。高知の潮江診療所などでは、制度のおかげで患者数が増えて黒字になっています。経営的にも十分にやっていくことはできると思います。制度がなければ病院にも来れない方が病院に来れるという意義が大切です。

【有田】「いのちの平等(お金がないからと言って病院にかかれないこと)」というのは民医連が掲げている。民医連には社会的にそういう役割があります。経済的な理由で病院にかかれず、手遅れになる人がないように、本来は行政の仕事ですが、今は我々がやるべき仕事でしょう。勿論、無制限に無料で行う訳ではなく、社会保障につなげるということが大事です。必要な医療が受けられるような枠組みを作って、最後の砦になれるようにその役割を果たす、誇りある活動だと思います。社会的にも知らせていきたいですね。

【谷井】今まで、民医連の代名詞と言えば「差額ベットを取らない」だったが、今は全国的に「無料低額診療」が代名詞になりつつあると思います。

【小笠原】新たな民医連の代名詞の事業を、ぜひ成功させたいですね。今年は、生協病院の新病院建設の年です。地域からの期待や建設に向けての夢を聞かせていただけますか?

【有田】生協病院ができて24年になりますが、本当に手狭になってきました。開院以来、組合員の活動はどんどん広がっていますが活動をする場所もなく、診療でもギリギリのスペースしかありません。医療生協として健康な住民が集まって地域活動をする、でもその為の場所がない。新病院をつくることとあわせて、本館リニューアルに組合員活動のスペースをつくり、メディカルフィットネスの事柄も合わせ、健診・健康づくりに役立つ施設にしていきたいと思います。
それによって、病院での病気の治療だけではない活動が広がりを見せていきます。本館のリニューアル工事が実はすごく重要だと思っています。また、同じく本館3階の部分をショートスティなど在宅医療で頑張っている家族を支える形の機能を持つ施設にする予定です。病院としての役割を果たしながら、地域全体の医療を支える機能を持てるのではないかと思います。増資運動にも取り組まなければなりません。増資者を増やし、医療生協を大きくしながら建設運動に取り組むことが大事です。

【小笠原】生協病院の建て替えには、職員や組合員さんの様々な思いが詰まっていると感じます。協立病院は建て替え後、約10年が過ぎましたが、建て替えで叶えられた夢、叶えられなかった夢などはありますか?

【谷井】協立病院は2000年5月に部分的に開院して、2年間かけて全館を建て替えました。全館が完成するまでは、工事の騒音と窮屈で大変だった診療を思いだします。前の建物は古くて暗かったし暖房は効きにくい、8人部屋もあるなど治療環境が悪かったのですが、新しくなって個室や2床部屋を増やして、働いていても、患者さんにとってもよい環境になったと思います。ただ、医療事業と本来一体であるはずの介護事業の機能をつくりたかったんですが、それはできませんでした。結果として別法人を設立しました。

【小笠原】協立病院で叶えられた夢が生協病院でも叶えられるといいですね。事業や運動を進め、私たちの存在意義を発揮するためには、医師確保・養成や次世代幹部養成など重要課題があると思います。それらについてはいかがですか?

【谷井】事業としては新居浜や松山にしか病院はなく、後継者を募り、共同組織の広がりをつくる中で組織を量的にも大きくしていきたいと思います。「今治に診療所を」という声は、私が入職した当時からあるのですがこれも中々実現できていません。

【有田】45~55歳くらいの医師が多く、10年後は僕も谷井先生もいないし、次の世代をつくっていかないといけない状況です。臨床研修病院の指定取り消しが課題になっているが、医学部の定員が一番少ない時から1000人増え、研修できる病院を増やす必要は今後出てくるのではないかと思っています。研修病院としての機能を持ち続けておく。家庭医療のプログラムをつくって医師が集まって定着するような取り組みをすすめる。生協病院だけでなく全体としてそういう仕組みを残し、今いる4人の奨学生が研修して一緒に働けるような環境にしていきたいと思います。

【谷井】協立病院でも医師の高齢化は顕著なので、医師の確保はとりわけ重要な課題です。我々は安心して住み続けられる街づくりを進めようとしているが、今は地域に安心して住み続けられない面がある。高齢者の引きこもりや孤独死など取り沙汰されるが、医療生協活動の中で地域でつながりをつくることが大切です。医師やスタッフが地域に出て行く中で街づくりにも貢献するのは、医療生協の職員として大事な役割です。

【小笠原】どんな取り組みや努力が必要でしょうか?

【谷井】協立病院は建て替え以来ずっと赤字でしたが、事業を継続していく為には赤字を出し続ける訳にはいきません。職員に赤字の実態をオープンにしながら、一部の幹部で方針を決めて動くのではなく全体で共有し、困っている患者さんなども積極的に受け入れをしてきました。地域のケアマネとの連携を取ることにより、去年の後半からディケアも黒字に転換しました。医師が中々増えないという現状から考えれば、医師の過剰負担にならないよう配慮しながら、今やっている事業を確実に継続させていきたいと思います頑張っています。ただ人件費率がやや高く職員数も180人と他院所に比べて多い状況です。新病院では、採血が必要な人は一か所に集中するなど、垣根を取り払って効果的に運用する工夫を行いたいと思います。建て替え後に毎年5000~8000万の黒字が出せる、適正な利益を出せるような構造にできるよう、管理者はもっと経営を勉強し、方針を創る必要があります。医師確保と同時に、事務や他のスタッフも数の確保をしながら、育成することで力をつけなければいけません。事務系の幹部、事務長になれる人材をつくるには、経理、医事、組織にそれなりの見識を持っていないと務まりません。計画的に人事異動などもして幹部を養成していくことが、医師確保と同じくらい重要だと思っています。

【小笠原】多くの職員が現状の課題をしっかりと受け止めて、自分達の未来に向かって努力をする事が必要なんですね。最後に、2011年を展望するキーワードをあげていただけますか?

【谷井】年越し派遣村もここ何年か続いていますが、やはり貧困の問題は大きいですね。衣食住の確保が出来ていない人がこの日本にも見えてきました。自己責任論や受益者負担論などが身近に溢れていますが、職員全員が憲法25条を活かすことが出来るようになってもらいたいと思います。

【有田】差額ベットに加えて無料低額診療事業が成功することは、社会的に重要だと思います。生協病院の場合は建設が始まる年なので、患者さん・組合員さんの夢を形に変える年、ということだと思います。20年・30年に1度のことなので、不十分なものをつくると後の人が苦労します。「これでいいやろう」ということのないように、我が事として若い職員の方にも議論に加わってもらいたいと思います。

【小笠原】有田先生、谷井先生ありがとうございました。2011年が、愛媛民医連にとって大きく飛躍出来るように頑張りたいと思います。

Comments are closed.